土壌に含まれるミネラル〜「セレン」「マンガン」

「セレン」

あまり聞き馴染がないかもしれませんが、「セレン」は五大栄養素・ミネラルの1つです。


「セレン」は他の微量ミネラルと比べ、とても毒性が強いミネラルですが、我々人間にとって絶対に必要な微量ミネラルです。

老化の原因となる「活性酸素」から体を守り、細胞の老化を防いでくれています。


その他にも、免疫機能の強化・感染症や病気から体を守る抗菌作用や抗ウイルス作用・血管の老化予防・動脈硬化予防・大気汚染から呼吸器の粘膜を守る・生殖機能を正常に保つ・更年期障害の症状の改善・男性不妊の改善・甲状腺自己免疫疾患の抑制・ガンの抑制など、微量でも体内でたくさんの働きをしてくれている栄養素なのです。


なかでも、ガンの抑制に関しては、前立腺ガン・肺ガン・結腸直腸ガン・膀胱ガンの発生を抑制し転移の予防が期待できると注目されています。


しかし、予防に効果的な摂取量には個人差がある為、現状、その量は定められていません。


また、セレンには水銀・ヒ素・イオウ・カドミウムなどの毒素と拮抗する作用があるので、毒性の強いミネラルですが毒素から体を守ってもくれています。


そして近年では、男性不妊の改善でも研究が進められています。セレンの他に亜鉛・銅などは、精巣の発育・精子の形成や運動性に関わっているとされています。


亜鉛が男性不妊に良いという事はよく知られていますが、亜鉛は精子の運動性、セレンは精子の形成に関わっているのではないかと考えられています。


セレンは食品中ではタンパク質と結合しており、抗酸化や抗炎症作用のある栄養素です。


しかし、セレンはその食品の産地の土壌や飼育飼料の濃度によって含有量が変わる為、どんな食品にどのくらい含まれているかを示すデータが少ない栄養素でもあります。


比較的に、藻類・魚介類・肉類・卵黄に多いとされています。含有量が多いとされている食品では、マガレイ・クロマグロ・豚レバー・レンズ豆などです。


日本では土壌に適度にセレンが含まれている為、国産の米・魚介類を中心とした食事をしていれば1日あたり約100㎍摂取していると推定されており、これは1日の必要量として十分な摂取量とされています。


さらに、セレンと同じ老化防止の作用のあるビタミンC・ビタミンEも一緒に摂取すると抗酸化作用も倍増します。


普通に食事をしていれば欠乏症になる心配はありませんが、体内のセレン濃度が低いと、免疫機能・認知機能が低下し、疾病リスクが高まります。


逆に摂取量が多くなるという事もほとんどありませんが、慢性的な過剰摂取は免疫機能の低下・脱毛・爪の変形、Ⅱ型糖尿病のリスクが高くなる可能性もあります。


何事も適量摂取が望ましいので、サプリメントなどで摂取する場合は気をつけましょう。



「マンガン」も、土壌中に含まれるミネラルの1つです。


体内の組織や臓器に広く存在し、たんぱく質やDNAの合成に関わる酵素の構成成分として成長や生殖に関わったり、三大栄養素をエネルギーに変えたり、骨や皮膚の形成に関わったり、インスリンの合成に関わったり、神経機能を正常に保ったり、体内を酸化から守ったり、体内のいろいろな代謝に広く関わっています。


動物性食品にはあまり含まれていませんが、玉露・穀類・玄米・大豆製品・栗・種実類の他、植物性食品に多く含まれています。


健康的な食事を普通にしていれば不足する事も過剰摂取になることもありません。

しかし、マンガンは吸収率がとても低いうえに、食事に含まれるカルシウムや鉄の量と反比例する特徴があります。

その為、病気の治療など特別な理由がない限り、カルシウムや鉄に特化した食品やサプリメントなど偏った食事をしていると、マンガン不足を引き起こしてしまう恐れがあります。


マンガンが不足すると、肌荒れ・骨格の発育不全・骨粗鬆症・生殖機能障害・低コレステロール血症・脂質異常症・高血糖・糖尿病・その他生活習慣病などが生じます。


また、マンガンは「愛情ミネラル」と呼ばれ、愛情を司る中枢神経に関わっているとも言われており、育児放棄・虐待の一因とも考えられています。


逆にサプリメントなどで長期的に過剰摂取していると、神経症状・精神障害・生殖機能低下・免疫力低下・腎炎・膵炎・肝障害などの症状が現れる事もあります。


摂れば摂るだけ良いという事はないので、様々な食品をバランスよく取り入れた食生活を心がけましょう。

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